スターチス ハイブリッド シネンシス
キノラパン
ガク落ちがほぼ無く、大きく良く開きます。高温期でも濃く鮮やかな発色。丈は良く伸び2番花でも太くボリュームがある切り花が得られます。若干曲がりやすいので抽台途中で軽く手櫛を入れることをお勧めします。
印刷用ページInformation
- 学名
- Limonium chinensis hybridus
- 科名
- イソマツ科
- 和名
- タイワンハマサジ
- 原産国
- 栽培起源種(種間雑種)
Price
【メリクロン苗7.5cmポット苗】(納期3~6月) 100本/35,000円(税込38,500円) 【メリクロン苗7.5cmポット冷蔵苗】(納期9月) 100本/38,000円(税込41,800円)
特徴
スターチス・シネンシスとはイソマツ科の宿根性の植物でケイ酸質のガクがスプレー状に展開して広い空間を満たす素材としてアレンジ時に重宝する。鑑賞部位はガクで色彩は白、ローズ、ピンク、黄、オレンジと多彩である。ガクを鑑賞するため花持ちがよく花の品質維持が難しい夏季でも長期にわたって鑑賞でき、通常の切り花以外にもドライフラワーとしても利用できる。通常、自然低温に遭遇した後、気温の上昇に伴い生殖生長に移行して花芽が抽台し開花に至る。
栽培上の特徴
従来のシネンシスは、耐暑性が無く、夏の高温期に枯死し、毎年苗を植え付けていた。本種は数年の据置が可能である。暖地から高冷地まで広域で栽培が出来、一度植え付けておけば数年間の切り花ができる。栽培に要する労力もさほど多くはなく、特別な技術など必要とせず、栽培も比較的容易である。
適地
日当たり、排水がよく、有機質に富む土地で、砂質及び粘土質土壌を除けば、土質は特に選ばない。pHは6~6.5内外の弱酸性が最適である。気候的には、夏の気温が低く、秋が長く続くところが好ましい。
病虫害
スターチス共通の病害が多い。栽培の過程でよく発生するのは、灰色カビ病である。樹が密生し、気温がやや高くなる3月以降から現れる。室内が高温、多湿になると、猛威を振るう。換気を十分に行い、室内を乾燥させ、トップジンM1,500倍液などで防除する。ウドンコ病も発生が多く、トリフミン乳剤1,000倍液などで防除する。虫害では、ヨトウムシ、ハダニに気を付けたい。ヨトウムシはコテツフロアブル2,000倍液、ハダニはニッソラン水和剤2,000倍液などを撒布し、防除する。
管理の要点
シヌアータは、発芽時の幼芽が低温に遭遇すると花芽ができる。本種は、苗令の進んだ大苗(本葉8~10枚)でないと、花芽が着生しない。いわゆる、低温の要求度の高い植物である。加温して早咲をねらう場合、加温始めが早すぎたり、急激に高温に当てると、上手くいかない場合がある。試作の結果、暖地では1月上旬、中間地では12月一杯、高冷地では11月中旬まで自然の寒さに当て、その後加温を始める。加温温度も、一気に高温にせず、徐々に温度を上げていく。加温温度は超促成で夜間15℃、通常10~12℃とする。昼間は最高25℃までとする。潅水は乾燥の都度行い、多湿は極力避けるようにする。通風を計り、堅く締まった株を作るようにする。2番花を取る場合は、1番花の弱枝を放置せず、早く切り取り、施肥を行い、芽吹きを早める。
播種・定植
定植:ハウス及び雨除け下で栽培する。定植の時期は地域、作型によってまちまちである。栽植距離ベッド幅1m。通路60㎝。条間50㎝。株間45㎝。2条植。2,700株/10aポットを抜き、根廻りしている場合は根をほぐし、鉢土がわずかに隠れる程度の浅植えとし、その後は十分に冠水をする。
その他
品種開発および作型の開発:
・品種の育成1995年に抽台・開花のために必要な低温要求量が少ない系統が、作型や抽台の調整を安定して行えると考え育種に着手、1998年にポット苗の状態で低温に遭遇した苗を春に定植して安定して開花する個体を選抜した。この既成概念を打ち破る新しい開発により「キノブラン」を育成し、1998年に種苗登録(登録名 キノバイス)し、1999年から発売を開始した。
・産地への普及と春定植作型普及
キノブランが春に定植しても安定して開花することから、スターチス・シネンシスの栽培地、特に高冷地では、秋定植から春定植の作型が主流になった。栽培期間の短縮による管理コストの削減や開花時期の調整が可能になり、計画的な作付けおよび収穫が可能になった。従来の秋定植だと6月~7月に集中して開花・流通していたものが、春定植作型が加わることで、5月~7月中旬までに期間拡張した。また低温管理が不要となったため、より安定した生産が可能となった。
・定植期間の拡大と品種の拡充
従来の品種より低温要求量の少なかったキノブラン(白色)であったが、5月中旬以降の定植では、脱春化という状態になり、安定して抽台、開花せず切り花ができないという場合があった。そのためキノブランの定植可能時期は5月上旬までとしていた。
さらなる出荷期間の拡張を図るべく、脱春化しにくい品種の育成を進めた。また桃色、黄色などの品種開発にも取り組んだ。その結果、白色ではキノホイップ、キノブランⅡ、濃桃ではキノセリース、キノピンキー、桃色ではキノシフォン、キノシフォンⅡ、黄色ではキノジョーン、キノラパンなど、長期間に渡って安定生産が可能な品種群 「キノシリーズ」の育種に成功した。
「キノシリーズ」は高温時の定植でも安定して抽台、開花するため定植可能期間は2~6月となり、切り花の流通期間も5月~10月と大きく拡充した。
・冬~春出荷作型の開発春定植(夏秋出荷)作型は北海道や長野県などの高冷地で普及した。さらに定植(出荷)の幅を広げるべく、暖地での冬出荷が可能な品種や栽培方法の開発に着手した。9月定植の試験を繰り返し行い、安定して抽台・開花する系統の選抜、栽培環境(地温、光、温度)を探っていった。その結果、キノバニラ、キノルージュなどを11月から採花することに成功した。植え付け時期や加温温度の調整、2番花の収穫などにより、秋定植作型では11月~5月の切り花の出荷が可能になった。
・周年供給体系の確立 従来は秋定植で6~7月開花の作型のみであったが、高冷地を中心とした夏秋開花作型と暖地を中心とした冬~春出荷作型を組み合わせることによりスターチス・シネンシスの周年採花が可能になった。スターチス・シネンシスは初夏の一時期のみに一斉に出荷される花から、どの時期でも出荷される花になり、生産面と流通・消費面で大きく前進した。
・今後の展望
抽台性能を維持しながらガク色、ブラシのサイズ、草姿、本数が高い次元でバランスの取れた品種の作出を行っている。
2022現在の色別のメイン品種
白 マルチーズ、キノミルク
黄 キノラパン、キノレモン
桃 キノラブリー、キノパッション、フラミンゴ
※ 日本での一般的な栽培の知見による